【映画】えんとつ町のプペル 感想・考察(ネタバレ有)

プペル画像2

引用:えんとつ町のプペル 予告編より

概要

作品自体の解説ではなく、どういう視点で良くできているかを語ってますのでお許しを。
さて、私は次の基準で本作が非常に高水準の作品だと考えています。
・映像体験として新しい体験ができる。
・映像の質が高い。
・今の時代を反映している。
・幅広い顧客層で楽しむことができる。
詳細は、企画・絵作り・世界観・駄目だしの4点で解説してみます。

企画

・本作の一番のファインプレイは、企画にあったと思います。理由は以下のとおりです。

スタジオの選択

 原作絵本の絵とスタジオ4℃の得意とする世界観が一致していることが優位に働いたと思います。
「Memories」や「魔法少女隊アルス」と作品の世界観が近い気がします。
原作の西野さんが脚本やっているところが、素人らしさが残りあまり映像表現などに慣れていない人にもわかり易い内容になっていると思います。

原作者 西野さん

西野さんという存在から考えると、わりとアニメーションなどに触れる機会の少ない人が多く見に来る作品だと思います。夜景を見るような美しさとわかり易い物語が新しい体験を提供しできると考えます。

CG・絵作り

絵本で描かれている表現以上の美しさや奥行きがありましたね。

冒頭シーン

CGだからこそできる映像表現をふんだんに見せつけてくれました。まずは、煙突にいるキャラクターに迫るときの浮遊感は、映画館でしか体験できないこと。それと、町の奥へ、奥へと進むところ、迫力ある音響など、ぐっとプペルの世界へ感覚を取り込んでくれる。

えんとつ町

えんとつ町は、常に霧というかスモッグで覆われています。なので、光が街全体にぼやっとかかり美しい情景を作っています。
それと、ブレードランナー的な、近未来に近い絵、カオスな状態が好奇心をかきたてるようなところもあります。

世界感・脚本

日本人の多くの人が持っている感覚がテーマになっていると思いますし、その物語の構造と世界の設定が一致していてとてもわかり易いです。
たぶん、普段日本のテレビドラマを見ている客層には新鮮に映るような気がしています。
時代性や思想
あまり意図してないかもしれませんが、ちゃんと現代の日本で日々みんな悩ましいと思っていることが出ています。
えんとつ町は、同調圧力が強く、あるかもしれない物(外の世界)を表現することも許されない、そんなものが日本に住むことで感じる閉塞感につながるような気がします。
ただ、では西野さんになんらかの思想や哲学があるかというと、特段ない気がします。

ダメ出し

リアリティ

一番気になったのは、リアリティのなさです。これは現実味ということではなく、作品の中の現実と空想のバランスが崩れていることを指しています。
最初は絵本だから、現実とは違うのもありかなとも思いましたが、途中に妙にリアルな知識をいれています。自分が知っていることを伝えたい気持ちがわかりますが、他の幻想と感覚的な矛盾を生じさせます。
妙にリアルなものは、経済の話です。ミヒャエル・エンデよろしく、価値の下がる貨幣の話が出てきます。そんな経済価値についてリアルな話を持ち出すとこの社会の色々なことが気になります。
その視点でえんとつ町を見てみると。えんとつ町は、スモッグを大量にだし、トロッコでの輸送ということは、石炭火力で動いている町です。この人達は、どこから食料を得て、何を食べているのでしょうか。そもそも石炭火力なのに、巨大なゴミ回収車が走っているのがいかがなものか。そもそも植物のないこの町で人は何を食べて生きているんでしょうか?
こんな形で作者が思いつきで自分がすごいと思う知識をいれこんだため、作品の世界観がバラバラになっていると思います。

セリフ

この作品おも鬼滅の刃ほどではないですが、セリフが真実を伝えます。ただ、映像作品で何でもセリフで伝えようとするとダサいと感じてしまいます。
結論、映像体験としてはとても良し。わかり易さも良い。ただ、底が浅く荒削りで、今後に期待を総評とさせていただきます。

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