この本を読む目的と利点
この本は、アニメーションのトップクリエーターが今何を考えて制作しているかを知ることができます。特に自分が面白かったのは、この世界の片隅にの片渕須直監督と日本アニメーション会のトップレベルのアニメーター井上俊之の話が聞けることです。
というわけで、アニメーション制作のことを知っていて、もう一歩知りたい人へ向けた本だと思います。
その他は、正直マニアック過ぎて、わからないところもありますが、簡単に解説します。詳しくは本書を読むことをお勧めします。
制作者インタビュー
片渕須直
片渕監督は、「日常生活の機微」を描くことを目的としています。そのための絵作りや表現方法について言及しています。細かくカメラを動かすことで子どもの動きと同期させたり、じっくり見せた作品ではFIX(カメラを動かさず固定させること)で見せたり。さらには、人間が映像をどう認識できるかを知るために、心理学者や画像工学の研究者のインタビューも受けています。
井上俊之と押山清高
ここの対談で重要なのは、アニメ制作のうち特に作画は徒弟制のようなもので、その作画の系譜を語っているところです。
宮崎駿の天才的空間表現に対して、どう映像制作をするかそれがAKIRAを作ったアニメーターたちです。ある意味押井系と言ってもいいかもしれません。
Aライン
AKIRA→老人Z→走れメロス→MEMORIES(彼女の思い出)→攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL→人狼の系譜に参加したアニメーターたちは、北久保弘之、井上俊之、沖浦敬之、黄瀬和也、今敏、西尾哲也
Bライン
AKIRA→ご先祖様万々歳→THE八犬伝(1話)→骨董屋→ユンカース・カム・ヒア(パイロット)→THE八犬伝(4話)に参加したアニメーター達は、うつのみやさとる、磯光雄、大平晋也、田辺修、橋本晋治、松本憲生
随分前からこれらの人物は、作画MADなどとして、まとめ映像もあるので確認すると案メーション技術を確認できると思います。
その他
その他のことも色々載っていますが、長々書くのも難なので興味があったら読んでみてください。
・アニメーション制作の流れ:脚本→絵コンテ→原画(美術)→動画→彩色→撮影→編集
のようなもうちょっと丁寧な説明。
・デジタルを利用したアニメーション表現。
・簡単なアニメーション史:宮崎駿的なものだったり
・現代アニメの特長的な作品の紹介:ユーフォニアムとか
現代アニメの多角的に知ることができて良書だと思います。何より現場の声がきけるところがとても嬉しいです。
またこういった本も読んだら紹介していきます。
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